お断り
このページは(株)同文書院発行(1994.12.21 第1版第1刷)「甲子園のヤジ」を引用しております。
結構おもしろい内容です。特に関東の阪神ファンは必読でしょう。
「ザマ見さらせ、川相。久慈ならアウトにしよるわい」(「甲子園のヤジ」より) Thunk you KUJI. We never forget you.
<1>6回、バースのホームランで3対1でリードもその裏、ヤクルト猛攻で一挙4点、阪神3対5と逆転される。
「土橋、ええ加減にせえ。ケツ決まっとんのになにジタバタしとるんじゃ」
「吉田のクソ、なんでゲイルをはよ代えんのや」
「あいつ、またケチリおってからに交代のタイミング遅れて大ヤケドしてもた」
「ヤクルトは次、誰が放るんやろ。ゲーッ、尾花かいな」
「土橋のヤツ阪神に個人的恨みでもあるんか。これに勝ったところで、ケツはケツやないか」
「巨人相手にやる時は、なんぼでも手ェ抜きよる。わしらそんなに人徳ないんか」
<2>2点リードされてついに9回。先頭バッター、4番掛布
「カケフ〜、ここで打たんかったらおまえの薄い毛ひきむしるど」
東京のファンあきれ気味に
「おっさんたち、そんなに熱くなることないだろ。2位広島との差は6ゲームだぜ」
「ここで負けたって、どうってことない。阪神の優勝はもう決まったようなもんだ」
さて、大阪のファンは、
「そらな、あんた、阪神ちゅうチーム、よう知らんもんの科白でっせ。」
「調子にのると天まで昇る。一度こけたら地獄まで落ちる。それが阪神なんや。せやから気ィもんでますねん」
「あの掛布かて、先月広島やっつけてた頃はええ顔しとったけど、今はもう・・・・・・」
(掛布、左翼ポール直撃のホームラン)
「ようやった。おまえ、ええ顔しとるいうとこやった。」
<3>掛布のホームランで、5対4、9回土壇場で1点差に迫る。続く岡田、センターオーバーの大二塁打。
北村がバントで送って、一死三塁、平田に代わってピンチヒッター佐野。
「佐野〜、気張れよ。あっちゃの空から中埜はん、見てはるど」
阪神球団の中埜社長はこの年、日航機事故で死亡した。
「ホームランはいらん。ショートの頭超えてくれ」
「心配や。尾花〜、暴投やったら景品やるで〜」
「何考えとんねん。弱気はあかん」
「弱気やないねん。現実、見とるだけや。ここで佐野、アウトになてみい。わしらなんのために会社サボって
高い金払うて東京まで来たんや。今夜、ここで優勝するとこ見に来たんとちゃうか」
「せや、阪神に明日はあってもわしらにはない。尾花〜、暴投頼むで」
(佐野、センターに犠牲フライ。5対5の同点。)
<4>5対5。同点で延長戦に。阪神のピッチャー、9回から中西。時間切れ寸前、10回裏、ヤクルト最後の
攻撃も二死走者なし。バッターは角。
「角〜、打つな〜。ここで打っても年俸上がらへんど〜」
祈るような気持ちでマウンドとバッターボックスを見つめるおっさんたち。
「中西、頼むで」
「ここで打たれてみィ。道頓堀沈めたるど」
「角は打ち気や。ボールから入れよ」
「えらそに胸はっとらんで、はよ投げんかい」
「ええんや、それでええ。打ち気はずしたれ」
「はよ行け、中西」
(角、打った。ピッチャーゴロ、試合終了)
「やった、優勝や」
「21年ぶりやで。もう汽車賃惜しゅうない」
が、東京のファンは冷静。
「でも、勝って決めたかった。」
「何抜かしとんねん。引き分けでええやんか。21年ぶりやねんど。次優勝する時、わしこの世におるやろか」